こんにちは。みたっくす(@book_life_net)です!
booklife(ブックライフ)では、「本のある生活」を目指したい人向けに、本と触れ合うきっかけや本のある楽しい日常を発信しています。
2020年11月6日(金)にグランドオープンした角川武蔵野ミュージアムをご存知でしょうか?
株式会社KADOKAWAと埼玉県所沢市が、みどり・文化・産業が調和した地域づくりを共同で進めるプロジェクト「COOL JAPAN FOREST構想」の拠点施設「ところざわサクラタウン」内にできた文化複合施設です。
その施設内に、「本棚劇場」たる夢のような空間があるということを聞きつけ、興味津々、早速観てきましたのでご紹介します!
本棚劇場へと続くブックストリート「エディットタウン」
本棚劇場へと向かうまでに約25,000冊の本に囲まれたエディットタウン-ブックストリート-を進む必要があります。そこはまるで未知への道です。
松岡正剛氏が設定した世界を読み解く「9つの文脈」と本の表紙が組み合わさり、それらを眺めて歩いているだけで次々とシナプスが目を覚まし、色んな「考える=妄想」を刺激してくれます。
これまで何百もの本屋や図書館といった本のある空間を観てきましたが、1本の道という設計は初めてで斬新に感じました。
どの本屋であれ、図書館であれ、無駄なくスペースを使おうと思えば、空間いっぱいに本棚を設置した回遊性の導線作りになります。そのほうが本棚へアクセスしやすく、滞在時間も長くなるような最適解があるのだと思います。
一方で、エディットタウンでは、おそらく進んだあとに戻ることは考慮された設計ではありません。もちろん戻れないわけではないのですが、人の流れに逆流する感じになるのです。
だからこそ集中できるのかもしれないですし、本当に気になったところにはまた戻ろうという選択を促してくれることで自分の興味に気づかせてくれるかもしれません。
こうした作りは、渋谷から原宿に続くキャット・ストリートなど個性的なブランドやカフェなど入りたくなるようなお店が立ち並ぶ世界観にも親しいものを感じました。
もしかしたらエディットタウンと言う名前にも、そうした街の意味合いが含まれているのかもしれませんね。
このストリートだけでかなりお腹いっぱいで心地の良い疲労感がありましたが、ここを抜けた先に待ち構えているのが本棚劇場です。
本棚劇場 紅白でYOASOBIが歌った場所として話題に!
360度を約8メートルの巨大書架に囲まれた空間が本棚劇場です。
2020年の紅白歌合戦に出場したYOASOBIが歌った場所としても話題になりました。
KADOKAWAの刊行物と同社と関係が深く日本を代表する研究者、作家の個人蔵書が並ぶエリアで、蔵書数5万冊と建築設計が作り出す空間にはさすがに圧倒されました。
本が高く積まれた本屋や図書館は世界探せば他にもありますが、この本棚劇場は明らかに世界観が違いました。木材をたくさん使った落ち着く空間でありながら、にぎやかなところを感じるのです。
よく見ると書架につかう木の幅や奥行きにばらつきがあり、まるで全体が動いているような印象を受けます。また書架の間にモニターが設置されていることも、本だけが置かれている空間と異なり、にぎやかな演出に貢献しているのかもしれません。
また劇場と呼ばれている通り、この空間でプロジェクションマッピングによる上映が30分間隔で行われています。
このプロジェクションマッピングには、本の空間をエンタメ施設(映像施設)へと様相を一気に変える機能があると思いました。本という「読む・触る機能」に「観る機能」をシームレスにプラスすることで新しい世界を体験させてくれる、まさにこれこそ文化複合施設らしい演出です。
ちなみにプロジェクションマッピングの内容は、物語・メッセージ性が強いものが配信されていたので、人によって好き嫌いが発生してしまう内容だと思います。
とはいえ、上映内容は今後変わっていくと思いますし、プラネタリウムのように配信時間によって内容を変えることもあるかもしれません。そのあたりはこれからの運営を楽しみにしておきたいところです。
角川武蔵野ミュージアム特集雑誌はこちら
見どころたくさん、それでいて未完の角川武蔵野ミュージアム
最後に、ここまで紹介してきたエディットタウン・本棚劇場は、あくまで角川武蔵野ミュージアムの一部ということを思い出してください。
また書架を中心に木目の雰囲気を感じられたかもしれませんが、外観は全く異なり、まるで大きな岩です。
ちなみに外装は割肌仕上げの石が手作業貼り付けられており、その数なんと20,000枚とのことです。外観だけでは何階建てなのか、そもそも中はどうなっているのかも想像できないですよね。
実際、ミュージアム内には、KADOKAWAグループのほぼすべてのライトノベルが揃っているマンガ・ラノベ図書館もありますし、企画展示も行われていますので、確認してチケットを事前購入することをおすすめします。
また角川武蔵野ミュージアム内、そして、その全体構想の「ところざわサクラタウン」はまだまだ未完成という感じがありました。今でも十分に魅力的な溢れた場所ですが、周辺には開けた土地が残っていて、今後の拡張を予期させてくれます。
KADOKAWAと所沢市の挑戦は、きっと定点観測していきたいスポットになっていくことでしょう。