こんにちは。みたっくす(@book_life_net)です!
諦めるな!
子供の頃からこんな言葉を何度も言われたことがある人は多いのではないでしょうか?その結果、「諦めることは悪いこと」と感じている人も多いことでしょう。
『諦めの価値』は、そうした諦めることことに悩みを抱えている人にとって有益な1冊となります。
諦めることは悪いこと?
『諦めの価値』は、「どのように諦めるのか、その気持ちの切り替え方のようなアドバイスを書いて欲しい」という朝日新書の編集者の相談から書かれたものであるといいます。
ちなみに出版社である朝日新聞出版と著者による書籍は、『「やりがいのある仕事」という幻想』『夢の叶え方を知っていますか?』に続く3作目にあたります。過去2作も、編集者からの相談から書かれたものであり、編集者は、世の中のぼんやりとした悩みのようなものを把握し、企画することに長けているように感じます。
今回であれば、「多くの人が、諦めることは挫折という苦痛を伴うものとなり、そのときに、どう自分と向き合うのか、という理屈が欲っしているのではないか?」と観察し、そのような悩みを持った読者に向けた本に仕上がっています。
諦めるは、考える
著者は、諦めることは決して悪い行為ではなく、むしろその逆で、諦めることは有益な決断であり、常に諦めることを念頭においた姿勢が、物事を進める上で重要だと説明します。
一言で言えば、諦めることは「考える」ことだといいます。逆に諦めないという姿勢は、考えていることを避けている状態だと指摘しています。
諦めてはいけない!という妄信が、決断を鈍らせ、大惨事を招いたことは戦争に限らず身の回りでも起きていることを思い起こす人も多いのではないでしょうか。
こうした事例や読者からの質問への回答を交えながら、「諦めること」の意味と、「考える」ことの重要性を説いていきます。
ちなみに人間の最大の武器は「考えること」という主張を、これまでの著者の作品の中でも共通して語られています。
章を追うごとに、諦めるな!という言葉から解放され、諦めることを前向きに捉えることができます。
ものを作ることは諦めの学びになる
具体的なアドバイスの一つとして、物理的なモノを作ることは『諦め』の学びになると書かれています。
その理由は、物理的なものを作るには、計画が必要であること。そして、計画で大切なことは、何を捨てるか、何を諦めるかの判断が必要となるからです。
ものづくりは物理的に可能なことしか選べないから、常に取捨選択が求められ、それは諦めの連続を経験することになります。
たしかに、最近の出来事として、ものづくりの中で諦めの経験をしたことを思い出しました。
棚をDIYするために棚板を買い、大変な思いをして作り上げた棚に物を置いたら、時間の経過とともに少しずつしなってきてしまったのです。しなった板に物が置かれている状況は見た目が悪く、このままにするか、新しく棚板を買い直すか悩みました。
悩んだ理由は、棚を作る計画の一つに予算があったからです。
結局、試行錯誤した結果、他の家具作りの計画の中にしなった棚板の一部を再利用することを考え、新しく棚板を買うことにしたました。
つまり全体の予算を諦めたのです。
もし予算を諦めなければ、見た目を諦めていたことになります。本書に書かれている通り、大事なことは、どちらの結果になろうと自分で考えて、決めたことだと思います。「諦め」ではあるけど、納得しての「諦め」だから決して悪いこととは思いませんでした。
諦めに慣れるための具体的な行動として、物理的なものづくりを始めてみることをおすすめします。
この辺りの話については、著者は、集英社新書より『創るセンス 工作の思考』という本もだしているので、こちらも読んでみるとさらに作ることに対して考えることになるでしょう。
『諦めの価値』の「まえがき」だけでも読んでみよう
諦めについて、ここまで客観的に書かれた本は見たことありません。
タイトル通り、諦めることについて悩んでいる人は、一読することをおすすめします。本書の言葉を借りるなら少なくとも諦めることについての気休めになることでしょう。
また著者による新書の良いところは、「まえがき」「を読めばその本を読むべきか、読まないべきかハッキリできる点にあります。それは、まさに本書で書かれている「諦める」ことを問いかけてくるようです。
著者なりの優しさでもあり、クセのある「まえがき」ですので、是非、3分で読める前書きだけでも手に取って読んでみることをおすすめします。
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