こんにちは。みたっくす(@book_life_net)です!
booklife(ブックライフ)では、「本のある生活」を目指したい人向けに、本と触れ合うきっかけや本のある楽しい日常を発信しています。
2021年3月23日からSOMPO美術館にて展示が始まった「モンドリアン展~純粋な絵画を求めて~」を観に行きました。
今回のモンドリアン展は、読書しやすい本があるように、鑑賞しやすい展示だと感じました。というのもモンドリアンの作品は、絵画の世界に留まらずファッションやインテリアへと広がりを見せていることから、モンドリアンを知らない人でも一度は目にしたことがあるかもしれないからです。
またそもそも美術館でのアート鑑賞は、以下の点においてどこか読書と似ています。
- 解釈は人それぞれであること
- 「正しい」、「間違っている」から開放された世界であること
- 見たまま(読んだまま)・感じたままを楽しむこと
最近では、人とのつながりが強く、周りの人や情報が気になりやすい時代だからこそ、こうした点を持つアート鑑賞や読書の時間が大切と話す方が増えてきたように思います。
この記事では、モンドリアン展の見どころに触れつつ、読書とアート鑑賞の視点についても書いていきます。
ピート・モンドリアンについて
今回のモンドリアン展は、生誕150年を記念した企画で、日本では23年ぶりです。
モンドリアンはオランダ出身の画家で、生まれた150年前といえばフランスに発した「印象派」と呼ばれる絵画を中心とした芸術運動がパリから徐々に大衆へと受け入れられはじめた時期でもあります。またSOMPO美術館の目玉展示でもあるフィンセント・ファン・ゴッホによって描かれた「ひまわり」は1888年8月から1890年1月の作品です。
引用:SOMPO美術館コレクション(https://www.sompo-museum.org/collection/)
日本でも人気の時代ですから「ひまわり」のように同時期に描かれた絵画を知っている方も多いかもしれません。
そうした中でもモンドリアンの作品(主に抽象画)は、絵画の世界に留まらずデザイン領域まで影響を与えた点に注目すべき点があります。
例えば、チラシの表紙にも載っている水平と垂直の直線のみによって分割された画面に、赤・青・黄の三原色のみを用いた絵を見たことある人もいるのではないでしょうか。
こうしたモンドリアンの作品は、イヴ・サンローランやミッフィーの作者ディック・ブルーナ、他にもポップアートの代表的な画家ロイ・リキテンスタインなど多くの人に影響を与えたと言われ、プロダクトデザインの他、広がりをみせていきます。
企画展ならではの楽しみ
モンドリアン展では、ドゥースブルフなどの画家、建築家と共に1917年に結成した「デ・ステイル」によるプロダクトデザイン(椅子や建築映像)の実物も鑑賞できます。
プロダクトの原点となった絵画と一緒に観ることができる企画展ならではの嬉しい展示です。
また70作品もの展示があり、モンドリアンの作風が、印象派・ポスト印象派から代表作となった抽象画作品へと作風が変わっていく変遷を各フロアごとに流れるように鑑賞できます。
さらにモンドリアン展を観た最後に、前述のゴッホの「ひまわり」を鑑賞できるという憎い演出を楽しめます。
モンドリアン展で連想した佐藤 可士和氏が作るロゴ
読書をしている時にいろんなことを想像するようにアート鑑賞をしている時もいろんなことを考えます。それは、ひらめきのようなこともあれば過去の経験を思い出すような感じ方をすることもあります。
今回は、モンドリアンの抽象画の作品(コンポジション)を見ていた時に、日本を代表するクリエイティブディレクターの佐藤 可士和氏が手掛けてきたロゴが頭に浮かびました。
例えばユニクロやTsutaya、今治タオルのロゴなどです。
引用:佐藤可士和展|国立新美術館(東京・六本木)特設サイトより
(https://kashiwasato2020.com/introduction/)
感じ方は人それぞれですが、「誰でも書けそうに思えるほどシンプルさ」「色使い」が似たように思ったからかもしれません。
どちらもデザインを見たらモンドリアンだ、佐藤 可士和だということを連想させてしまうところに凄みを感じます。
人の記憶に残るのは「具体的な」表現よりも「抽象的な」ことなのではないかなとすごく考えさせられる時間となりました。
偶然にも同時期の2021年2月3日-5月10日まで国立新美術館で佐藤可士和展が行われているので、同じような印象を持った方は合わせて見るのも面白いかもしれないですね。
もっと詳しく
モンドリアン展を観た後で変わる景色
本を読んだ後に少し世の中の景色が変わって見えることがありませんか?
美術館も同じで、観賞した後にスッキリすることもあれば、モヤモヤした気持ちすることもありますが、どこか観る前と後では景色が変わって見えることがあります。
今回であれば、ピカソなど他の抽象画家の作品のことを思い出しながら、異なる視点で時代を捉えることができました。
他にはモンドリアンの作品が影響を与えたプロダクトをもっと知りたいという好奇心も生まれ、明らかに気持ちに変化がより前向きになり、世界が広がったように感じました。
読書は、読むことで想像をする行為である一方でアート鑑賞は、その場で観ながら想像する点でアプローチが異なります。どちらか片方だけでなく、この2つの行為を混ぜていくことで、もっと日常が楽しくなっていくのではないでしょうか。
モンドリアン展は、6月6日まで開催してますので、この機会を逃さず観に行かれることをおすすめします。
なお、美術鑑賞行くのは敷居が高いと感じてる方はこの本がおすすめです。
読み終わる頃には、敷居が高いと感じていたことが嘘のように変わります。