こんにちは。みたっくす(@book_life_net)です!
引用先:銃・病原菌・鉄 上巻の表紙より
『銃・病原菌・鉄』は、著者がニューギニア人ヤリからもらった、素朴で核心をついた1つの問いから生まれた壮大な人類史の研究結果がまとめられています。
その究極の問いは、以下です。
つまり、現在、持つものと持たないものが生まれた違いは、何だったのか?という問いです。そこに1万3000年という人類史を一つ一つ紐解きながら、大真面目に答えていきます。
究極の謎解きの面白さ
本作は、歴史学、歴史科学の本でありながら、まるで謎解きのような面白さがあります。
例えば、南アメリカ大陸のインカ帝国をユーラシア大陸からきたスペイン人が征服したという歴史があります。その要因はタイトルにかかれている「銃・病原菌・鉄」であることはよく言われており、知っている方も多いかもしれません。
ただし、著者はそこで終わりません。なぜインカの人々は「銃・病原菌・鉄」を持たなかった要因をも考察していきます。
それは、冒頭のニューギニア人ヤリの問いに立ち戻って明らかにしようとしているからです。
こうした持つ、持たないの際はどこに生まれ、その究極的な要因は何だったのか?
他にも食料生産や家畜、文字などそれぞれの地域で持てるものと持たざる者が出ていった要因を1つずつ紐解いていくおもしろさが本書にあるのです。
またこの本は、「病原菌」がもたらす影響についても触れていることから、コロナ下において再注目を浴び、2020年東大生協の文庫本売上ランキング1位にもなりました。
そんな「病原菌」の持つ、持たないに対しての結論は驚くほどシンプルです。
家畜との長い親交を通して病原菌に対して免疫を持てた人たち、持てない人たちがいたということに帰結し、免疫を持てた人たちは、持てなかった人たちに恐ろしいプレゼントとして病原菌を渡してきた歴史が繰り返されているのです。
グローバル化が感染病の流行をもたらすと言われるゆえんはすべてここに帰結していくことに深く納得しました。こうした病原菌に関する記述は、第11章に詳しく書かれています。
今ならだれもが自分事として捉えて、これからの未来への備えとなる知見を与えてくれると思いますし、これからの社会を考える参考になることでしょう。
本作は、名著と言われていますが、上下巻合わせて文庫で800ページを超える量があるので、読むのをためらう人もいるかも知れません。一方で、約60ページのプロローグとエピローグを通して概要と結論を述べているので、まずはこの60ページを読み大枠を理解するのも良いかもしれません。
それでもやはり全体通して、多数の分野をまたいだ最新の知見を掛け合わせて歴史を明らかにしていくアプローチの過程も読んでほしい作品です。なぜならそうしたアプローチの過程に対する著者の考え方にこそ、本書の面白さがあるからです。
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