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裁判記録からわかった50%の本が12部未満しか売れていないアメリカの出版業界の現実

アメリカの出版業界
みたっくす

こんにちは。みたっくす(@book_life_net)です!

今回のエピソードでは、出版業界の現実を反映した裁判記録に基づき、アメリカにおける出版の現状を掘り下げます。

驚くべきデータとして、出版された本の90%が2000部未満、50%は12部未満しか売れていない事実が明らかになりました。このデータは、ペンギンランダムハウスがサイモン・アンド・シュスターを買収しようとした際の独占禁止法の裁判で公開されたものです。

出版業界の収益は上位4%のタイトルが60%を占め、読者の20-25%が売上の80%を支えているという構造が浮き彫りになりました。つまり、少数のベストセラーが大部分の収益を生み出し、大多数の書籍はほとんど売れていない現実があるのです。

裁判記録を基にしたエル・グリフィンの「No One Buys Books」記事では、業界の厳しい現実と、著者への高額な前払金が多くのケースで回収されない現実が描かれています。例えば、ビリー・アイリッシュのフォロワーが1億人近くいるにもかかわらず、彼女の本は6万4千部しか売れませんでした。これは、有名人の名前だけでは本は売れないという現実を示しています。

出版業界はマーケティングや編集、流通などの機能を持ち、これが著者にとっての大きな魅力でした。しかし、12部しか売れない本を出すのであれば、自身でフォロワーを増やし、独自に本を出版する方が利益が大きい場合もあります。AIの進歩により、これまで本を出さなかった人々も参入しやすくなり、新しい視点やコンテンツが生まれる可能性もあります。

一方で、読み放題サービスの普及が出版業界に与える影響も大きく、業界の売上を著しく減少させる恐れがあります。音楽業界でのストリーミングサービスの影響を引き合いに出し、同様の変化が出版業界にも訪れる可能性が指摘されています。

最終的には、著者の独立が進む中で、出版業界は新しいモデルを模索する必要があります。

マーケティングや編集、流通などの伝統的な機能をどのように活用し、デジタル時代に対応するかが今後の課題です。本を読む文化が変わりつつある中、読み放題サービスや著者の自立は、読者にとって前向きな変化となるかもしれませんが、出版社にとっては厳しい現実を直視する必要があります。

詳しくは以下からぜひ音声での解説を聴いてみてください。

#93 裁判記録からわかった50%の本が12部未満しか売れていないアメリカの出版業界の現実

今回のトーク内容

本の未来を考えるポッドキャスト『booklife radio』。今回は下記のテーマでお話しました。

今回のトーク内容

  • 本の出版状況
  • 出版データ分析
  • ベストセラーの重要性
  • 前払金と出版権取得について
  • 著名人の本出版におけるリスク
  • インフルエンサーの本出版失敗例
  • 読み放題サービスと出版業界の関係
  • 著者の独立と出版社の機能
  • AIと本の出版の関係性
  • 出版業界の現状と課題

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