書評

『もうひとつのモンテレッジョの物語』本を作ることのすばらしさを教えてくれる物語

もうひとつのモンテレッジォの物語

本には、表と裏の話がある。

両面を知って初めて、そこに書かれている物語は完結するのかもしれない。

『もうひとつのモンテレッジョの物語』は、その前に刊行された『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』に書かれている「旅する本屋の故郷」との出会いを紡ぐエッセイと、その村に住む子供達が作った村の歴史の絵本が1冊にまとまった本です。

今回、表の話と評する『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』は、そのタイトルどおり小さな村の旅する本屋の物語に焦点を当て、著者が見たまま、聞いたままを、気持ちの良いリズムで文章に落とした作品である。

モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語
『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』本を売るだけが商売ではない

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それに対して本作は、この本ができる過程で出会った人に焦点を当て、どのようなことが起きていたのかが語られています。それはまるで『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』の裏話であり、制作過程であり、本を作ることは楽しいという姿を見せてくれるようにも感じます。

そうした本の制作に対する著者の考え方は、各章に書かれたエッセイの最初に数行で語られています。本を作っている人、これから作ってみたい人にとって示唆のあるものになるかもしれません。

さらに本作の特筆すべき点は、エッセイの中で村の子供たちによる絵本作りの物語も同時に進行している点です。

エッセイの中で絵本の物語が終わり、出来上がった本は、裏表紙から読み進めることができます。

つまり1冊の本の中に2冊の本をカップリングしたこの本自体が、表と裏の性格を持った本になっているのです。

著者の内田洋子氏の本作りへの考え方や取り組みと書ける言葉がまだ決して多くはない小学2年生の子どもたちが、夢中になって勉強して、思い思いの絵本を作る過程を物語を並行して呼んでしまったら、今すぐ筆を取りたいという気持ちになってしまうでしょう。

本作は、本編にあたる『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』を読んだ人向けに書かれた本であり、読んでから手に取った方が楽しめるのは間違いありません。しかし、読んでいない人でも本を作ることの素晴らしさを知れる本としても是非、おすすめしたい一冊です。

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